くま75の先手必勝日記

くま75(TRI4THコピーバンド)メンバーブログです

書評:空白を満たしなさい

神奈川ナンバーワン筆まめドラマーまるです。

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今回紹介したいのは、平野啓一郎著『空白を満たしなさい』という小説です。
読んだのは何年も前なので
内容はほとんど覚えていませんが、モヤモヤがすっきり回収されて綺麗に辻褄が合い、読後感がとてもいい作品だったと印象に残っています。
この小説は著者の提唱する「分人主義」という考えを軸に書かれています。
分人主義に関しては 『私とは何か---「個人」から「分人」へ』という著書で詳しく書かれているので関心のある人はお読みいただきたいのですが、ざっくり説明すると、所属するコミュニティーや相対する人によって自分の態度やキャラクターが変わるけれど、どれも本当の自分であり、それは自然なことだということです。
家庭や職場、趣味の集まりなど、複数のコミュニティーを行き来しながら生きていくものでが、それは八方美人だとか流されやすいということではなく、「一貫した個人」というイメージに縛られると現代の複雑な社会の中では生きにくいということです。

というような考えを思い出したのは、少し前にバンドで活躍しているプレイヤーのソロライブに行く機会がいくつかあったからなんですね。
そこでは、バンドでのイメージとは違って「こんな考えを持っていたのか」「こんな音楽もやりたいと思っていたのか」というような発見があって、とても面白いものでした。
複数のバンドを掛け持ちでやっている音楽家もたくさんいますし、音楽以外の仕事と掛け持ちでやっているマルチな人もいます。
1つのバンドで活躍する姿に惹かれて、そこを切り口にその人の固有のものだったり、生き様のようなものが垣間見えたりするのも、音楽に触れる楽しみのひとつであると感じました。
DR:まる